GACKT&二階堂ふみが「翔んで埼玉」監督の“ 3までやる”構想に反対した過程とは?


翔んで埼玉』(とんでさいたま)は、魔夜峰央による漫画。『花とゆめ』(白泉社)1982年冬の別冊および、1983年春の別冊・夏の別冊に3回に分けて連載された。 2019年2月22日に実写映画版が公開。 2021年8月、2022年に実写映画版の続編『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』が公開予定であ…
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 2019年に公開され大反響を呼び、興収37.6億円のスマッシュヒットを記録した映画『翔んで埼玉』。その続編となる『翔んで埼玉琵琶湖より愛をこめて~』が満を持して公開を迎える。前作同様、主人公・麻実麗にGACKT、壇ノ浦百美に二階堂ふみが続投。そして関西を巻き込んだ本作で、滋賀解放戦線のリーダー・桔梗魁を演じるのが杏だ。そんな3人が揃ってインタビューに応じ、改めて本作の魅力を語り合った。

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■本作の撮影に、全力で反対したGACKT二階堂ふみ

――『翔んで埼玉』待望の第2作目ですが、お話があったときはどんなお気持ちでしたか?

GACKT:「やめましょうよ」と断りました。もういいじゃないですかって。

二階堂:武内(英樹)監督が前作の撮影時、「パート3までやる」と仰っていたんですが、完全に冗談だと思っていたので「できたらいいですね」と会話として合わせていたのですが、実際お話をいただいて「やめた方がいいんじゃないですか?」と言いました(笑)

――大ヒットした作品なのに、GACKTさんはなぜ続編を「やめましょう」と思ったのですか?

GACKT:第1作目も「これは本当に大丈夫か?」という気持ちでしたから。結果として運よくヒットしたから良かったけれど、またこれ以上のリスクを背負う必要はないじゃないですか(笑)

――二階堂さんが「やめた方がいい」と言った理由は?

二階堂:第1作目のヒットはたまたまだったんじゃないかという思いが強かったんです(笑)

GACKT:あれは間違いなくたまたまでした(笑)。それに歴史的に見ても、第2作目は成績が落ちることが多いですから。さらに盛り上げるというのは至難の業ですし、せっかく成功したんだからここで終わりにした方が美しいのでは?と。

――それでも参加したというのは?

二階堂:やっぱり台本がおもしろかったです。あとはいまだに「『翔んで埼玉』観ました」と言ってくださる方がとても多くて。だから、使命感みたいなものも少しはありましたね。でも、キャストを見て、杏さんや片岡愛之助さんをはじめ、ものすごく豪華なキャストの方がたくさん出演することを知って、また不安になりました。「知りませんよ、私」みたいな気持ちでした(笑)

――そんなおふたりの気持ちを杏さんは知っていたのですか?

杏:初めて聞きました(笑)。でもこの破天荒な世界観を一度作り上げたあと、時間を空けてもう一回演じるというのは、想像するだけでも大変だなというのは感じました。私も公開後、「3作目やります」と言われたら、「本当にやるんですか?」という気持ちになるのはわかるような気がします(笑)

――杏さんは滋賀解放戦線のリーダーである桔梗魁という役でしたが、オファーを受けたときはどんなお気持ちだったのですか?

杏:私は滋賀県出身ではないので、滋賀を代表していいのか……という不安はありました。正直いまだに怖いというか、公開されて反応を見るまではドキドキですね。

――本作に参加した理由は?

杏:以前月9ドラマデート〜恋とはどんなものかしら〜』(フジテレビ系)で武内監督とはご一緒させていただいていて、いつかまたご一緒にできたらいいなと思っていたんです。不安がなかったと言ったらうそになりますが、武内監督がおっしゃるなら間違いはないだろうという思いでした。

GACKTと片岡愛之助はラブラブ

――おふたりからみて、今作が1作目よりもパワーアップしているなと感じる部分は?

二階堂:麗と杏さん演じる桔梗魁のツーショットが本当に美しくて、観ていて惚れ惚れしちゃいます。原作の魔夜峰央先生の世界観が、そのまま出てきたかと思うぐらい感動しました。あとは今回出演できなかった方もいるのですが、みんなは忘れていないという演出があったところも良かったですね。本当に愛があるというか。これが『翔んで埼玉』だ! って思いました。あとは片岡愛之助さんと藤原紀香さんが共演しているのですが、そのシーンが本当におもしろくて…。この形で本当に良かったのか…って思いますが……(笑)

GACKT:ボクは撮影の後半で愛さん(愛之助)と共演しました。お会いするのは初めてだったのですが、とにかくセリフに強さがあり、芝居に説得力があって、場の締め方がうまい。演技はもちろんですが、人柄も大好きで、撮影後もとても仲良くさせてもらっています。今でも月1くらいでご飯に行っています。

二階堂:いつの間に……!?

GACKT:ラブラブです。

二階堂:おふたりではどんな話をするんですか?

GACKT:映画とか、歌舞伎の話が多いです。歌舞伎って台本を覚えてリハーサルに入ってから本番まで2日間しかないという話を聞いて、すごい世界だなと。そんな世界で活躍されているんですから、すごいわけだ、と思いました。あとはその土地の美味しいご飯の話とか。東京にはこんなお店が、福岡にはこんな美味しいところがあるから、今度行きましょうみたいな。

二階堂:私も連れて行ってください(笑)

杏:ぜひ私も呼んでほしいです。

――杏さんは思い出に残っているシーンはありますか?

杏:麗様がある粉によって毒されて顔が変わるシーンは、どうやって撮っているんだろうというぐらいインパクトがありました。しかも元々予定になかったシーンだと聞いて、余計驚きました。注目していただきたいですね。

■真剣に命を懸けてくだらないことをやるからこそおもしろい

――改めてこの作品が愛される理由はどこにあると思っていますか?

GACKT:日本と海外の映画館って雰囲気が全然違います。海外って笑いたいときに笑ったり、野次を入れたりして盛り上がるのですが、日本だと「他の人の邪魔にならないように」という意識が強い。ボクはこの映画の1作目の時、何回か劇場で観たのですが、お客さんがゲラゲラ笑ったり、拍手をしたりしている。それを見て、やっぱり観客みんなで作品を共有できる力がこの映画にはあると思ったんです。この作品がきっかけで「映画館っていいよね」と思ってもらえたらうれしいです。

二階堂:この作品は、差別や分断、争いなどを、一歩引いてみると、こんなにも滑稽なんだというのを描いている作品だと思うんです。だからこそ人の心を動かすのかなと。さっきGACKTさんが仰っていたように、お客さんの笑いで完成する作品なので、スクリーンを通してお客さんたちが繋がれるというのが、最大の魅力なのかなと思います。

杏:大の大人がくだらないことを全身全霊でやっていることのおもしろさ。本当にギリギリを攻めていますよね。もしかしたらギリギリアウトかもしれない表現もあるけれど、ラインの上に足が掛かっているんじゃないかと思うようなハラハラさも相まって、本当に笑い転げてしまいます。

GACKT:ボクらは自ら笑いを取りに行くような演技は絶対しない。監督が全部コントロールしているので、ボクらはあまり変なことを考えず、ずっと真剣なんです。だからこそおもしろい。撮影はロケばっかりでみんなヘトヘトでしたが、妥協は一切ない。とてもシリアスシーンで撮影の谷川創平さんが、移動中に躓いてしまったことがあったんですが、それでもカメラを持ちながら、懸命に撮ろうとしたのを見て、感動しました。結局カットになってしまったのですが、そのとき「ちくしょう! 悔しい!」って。

杏:すごく格好良かったですよね。

GACKT:本当に命を懸けて撮っているんだと。作品への愛を感じました。でもやっていることはめちゃくちゃくだらない。それが最高です。全員が真剣に命を削ってやっていることが、きっとみなさんに届くと思うんです。現場はつらくて厳しいけれど、愛に溢れています。そんな思いがきっと伝わる作品になっていると思います。


取材・文/磯部正和
写真MitsuruYamazaki

(左から)杏、GACKT、二階堂ふみ (C)ORICON NewS inc.


(出典 news.nicovideo.jp)