【ドラマ】SixTONES松村北斗『カムカム』“稔さん” 後、初のドラマ出演が【恋マジ】で正解だったのか ⁈


なんて、本気でやってどうするの?』(こいなんて、ほんきでやってどうするの?)は、カンテレ制作・フジテレビ系列の「月曜夜10時枠の連続ドラマ」枠で2022年4月18日から6月20日まで放送のテレビドラマ。主演は本作がプライム帯の連続ドラマ初主演となる広瀬アリス。 略称は恋マジ
18キロバイト (1,543 語) - 2022年6月18日 (土) 09:19


視聴者側としては、ギャップに戸惑ってしまったけれど一つのはイメージに固定してしまっては俳優としてはよろしくないですよね。

 6月18日SixTONES松村北斗の誕生日であった。この1年、松村は俳優として大きく飛躍したといえるだろう。“朝ドラ”こと連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)の稔役でザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞を受賞し、現在は連ドラ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系 月曜よる10時 以下『恋マジ』)で主人公広瀬アリス)の相手役を演じている。

 恋より仕事だった主人公を恋に溺れさせる役割を松村は担った。この『恋マジ』は6月20日最終回。彼女との恋の結末はどうなるか気になるところ。そこでこの1年の松村北斗の俳優活動を振り返り、俳優としての魅力と今後の可能性を考えてみたい。

『カムカム』視聴者が松村北斗に注目した理由

『カムカム』で松村が演じた稔はヒロイン安子(上白石萌音)の夫。戦前生まれの生真面目な御曹司で、安子との恋愛から結婚までの流れがこの上なくピュア朝ドラ視聴者の注目の的となった。

 戦争がはじまって出征した稔は帰らぬ人となるが、安子に語った「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも自由に聴ける。僕らの子供にゃあ、そんな世界を生きてほしい。ひなたの道を歩いてほしい」というセリフが強烈な印象を残し、後々、稔の孫であり3代目ヒロインひなた川栄李奈)編まで通底するキーワードとなった。

 安子からはじまったヒロイン3代に渡る100年の物語の後半戦、終戦の日、お盆に故郷岡山に帰った稔の娘で2代目ヒロインのるい(深津絵里)の目の前に稔の幻が現れるシーンは大きな感動を呼んだ。稔こそ『カムカム』の“心”であり、ひなたの道の象徴だと感じた視聴者も少なくないだろう。

 松村北斗がジャニーズアイドルSixTONESメンバーのひとりであることを知らなかった視聴者や、情報として知ってはいてもそれ以上の感情はもっていなかった視聴者が松村北斗に熱い眼差しを注ぐようになった理由は、圧倒的な清潔感。古き良き日本男児というイメージである。

 学生服を着て英語の勉強に熱心、白い軍服を着てお国のために戦おうとする愛国心、なんといっても安子にとことん誠実。松村は空手をやっていたからか、姿勢がよくて正座が似合う。座ったときに腿に手を置く所作がじつに堂に入っている。武道の精神を感じる。

 背が高いにもかかわらず、畳の上での所作が似合うことは貴重である。名作少女漫画はいからさんが通る』などに描かれる、昔の日本人らしからぬしゅっとした、そんな人は実際にいない、でもかっこいいは正義という感じのビジュアルなのだ。丸顔と面長、親しみやすさとノーブルさの中間的な輪郭は万能である。

 ジャニーズでは何年かにひとり、黒髪、軍服の似合う人物が出てくる。それはジャニー喜多川が意識していたのだろうか。ジャニー喜多川亡き後、あるいは戦争を知らない人たちが圧倒的に増えてきたいま、軍服の似合う少年や青年は今後もジャニーズに入るだろうか。もしかしたら松村北斗が最後の世代になるのではないか。

 そんなことも考えてしまうが、稔人気によってこの手のキャラの需要が高いことは立証されたわけで、今後もジャニーズから供給され続ける気もする。

“アフター稔さん”の出演作品は?

 さて。朝ドラに出演した俳優は間髪いれずに民放の番組に出ることが多い。例えば、『おかえりモネ』の清原果耶が火曜ドラマファイトソング』に主演したり、相手役・坂口健太郎が火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』に出たり、『おちょやん』の杉咲花が水曜ドラマ『恋です!ヤンキー君と白杖ガール』に主演したり、『スカーレット』のヒロイン戸田恵梨香)の夫役・松下洸平が水曜ドラマ『東京タラレバ娘2020』に出たり。女性視聴者の多い水曜ドラマや火曜ドラマシフトすることが多いのだ。

 他のドラマと比べて朝ドラは、全国区で、視聴率も圧倒的に高く認知度が上る。そのためマネージメント的にも続けて露出したいだろう。起用する側も朝ドラ人気にあやかりたいという思いがあるだろう。

 松村は『カムカム』が終了してすぐ、映画『ホリック xxxHOLiC』、続けて連ドラ『恋マジ』と矢継ぎ早に出演した。『カムカム』の放送開始とほぼ同時期に映画『劇場版 きのう何食べた?』にも出ていた。

 朝ドラに合わせた露出戦略において、朝ドラで演じた人物のイメージを踏襲するか、もしくはまったく違うイメージでいくか、大まかに分けると2択がある。前者は保守的、後者は攻めているといえるだろう。松村の場合は保守と攻めのハイブリッドであった。『きのう何食べた?』と『恋マジ』は攻め、『ホリック』は保守。1作ずつ解説してみよう。

きのう何食べた?』で演じた新人美容師・田渕は『カムカム』の稔さんとはまるで違う、極めて現代的な青年であった。軽味のある雰囲気で稔と同じ俳優だと思わなかったという声も筆者はいくつか耳にした。

『ホリック』は原作CLAMP、監督蜷川実花という華麗なるビジュアル世界で一見攻めた役のようだが、松村が演じた百鬼目は寺の息子で弓道の達人。黒い着物をぴしっと着た姿が決まり、凛々しい日本男児的だ。しかも、彼の射る矢には霊力のようなものがあり、彼のそばにいると邪悪なものが祓われる。この圧倒的な清らかさは稔さんと通底したものがある。

 立礼の際、腿に手を置いて上半身を前傾する、その礼儀正しさに稔さんを重ねてしまう観客もいたに違いない。この礼儀正しさは松村北斗に備わったものなのだろう。『カムカム』にもあったお祭り屋台のシーンもあって、相手役が上白石萌音から神木隆之介に代わり、それはそれでまたいい雰囲気だった。

『恋マジ』で見せた“稔さん”とは違う顔

『ホリック』では稔さんロスが多少埋められたものの、もう1作の『恋マジ』がはじまると「稔さんがいない」という声がSNSで散見された。放送開始前の情報によると複数の女性とつきあうようなチャラ男というものでちょっと不安はあった。

 実際はじまるとその情報どおり。おしゃれレストランイケメン店員・長峰柊磨(松村)は彼目当ての女性客が多い。広瀬アリス演じる主人公・桜沢純に迫る姿は安子だけを大事にした節度ある稔の面影はまったくなかった。

『カムカム』以前から松村を応援してきたファンからしたら、これまでも様々な役を演じてきているし、SixTONES高身長セクシーワイルド、ヤンチャ、オラオラ系な要素もあるグループ。そのなかでは口数少なめとはいえ、熱っぽい目線を観客に向けて歌い踊る松村は、稔さんだけでは決してないのである。

 とはいえ、稔さん効果の大きさも手放してはもったいない。そのせいなのか、もともとそういう予定だったのか定かではないが、柊磨はじょじょにキャラ変していくのである。

 途中から毒母・真弓(斉藤由貴)が登場、柊磨は母に溺愛されていて、それゆえ母子関係がうまく結べなかったため、人に甘えられず、他者と適切な距離がとれずに育った。女性関係がルーズに見えたのはそのせいだったことがわかる。さほどイケイケのチャラい人物ではなく、母性本能をくすぐるような守ってあげたくなるようなキャラになっていく。

 第8回では畑仕事をするための白Tにデニムオーバーオール姿が素朴でSNSを沸かせた。学生服、制服、着物……とかちっとした衣裳が似合い、それによってストイックな印象が強調される松村が、ゆるっとしたオーバーオールを着用することでリラックスしたムードになった。

 ただ、オーバーオールも制服、着物系と共通する点もある。飾り気がなくシンプルで素朴ということだ。ともすれば地味に見えてしまいそうな衣裳である。松村北斗はそういうところで勝負できる希少な人物なのである。

『恋マジ』以降、どんな役をやるかが勝負

 結論を言えば、『恋マジ』出演は松村北斗のアイドルから稔さんまで幅広さがあるというプレゼンとして成功だったと言えるだろう。ひと昔前の俳優たちは人気の高かった役と同じイメージを踏襲することが少なくなかったが、最近はまるで違う人物を演じることこそ俳優という考え方が浸透してきている。

 実力主義というのか、スターとしての個性よりもその人とわからないほど化ける才能を讃える時代なのである。そこに松村北斗がみごとにハマった。

 WEBテレビジョンのサイトで本人はザテレビジョンドラマアカデミー賞受賞のコメントとして「僕自身は出演前後でそんなに変わっていないのに、周囲からの評価が一気に高まった気がするので…(苦笑)。しかし、またハマり役と言ってもらえる役に出合えるように、音楽活動と並行して次に向かえたらと思っています」と語っている。

『恋マジ』後、どんな役をやるかが勝負であろう。大河ドラマを狙ってほしい気がする。平安貴族を描く『光る君へ』なんてハマりそうだ。

(木俣 冬)

『恋なんて、本気でやってどうするの?』関西テレビ公式サイトより


(出典 news.nicovideo.jp)