森山良子さん「アニーの正体は誰にも言ってはいけないとお達しが…」『カムカム』“るい編”以降をあえて観なかったワケ


森山 良子(もりやま りょうこ、1948年(昭和23年)1月18日 - )は、日本の歌手、女優、タレント。本名同じ。 東京都出身。平成18年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。平成20年秋紫綬褒章受章。長女は森山奈歩、長男は森山直太朗、娘婿はおぎやはぎの小木博明。 ジャズ・トランペッターの森山
35キロバイト (2,373 語) - 2022年4月10日 (日) 03:12


役作りの裏側には、そんなエピソードがあったんですね。

 4月に大団円を迎えた連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でアニー・ヒラカワを演じた歌手の森山良子さん。謎めいたアニーの存在は大きな話題となり、最終週が放送されるまで、秘密を抱えながらの生活を送ることに。森山さん自身も「カムカムロス」だという本作の裏側と、作品とのつながりも深い森山ファミリーの歴史について伺いました。

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アニー・ヒラカワの正体は誰にも言ってはいけない」

――『カムカムエヴリバディ』の終盤、「アニー・ヒラカワは何者か?」。これはドラマ最大の伏線回収、『カムカム』ファンにとっては大きな関心事になりました。日本中が注目する「秘密」を抱えることになったお気持ちはどんなものでしたか。

森山良子さん(以下、森山) 昨年の夏にご依頼をいただいて、「アニー・ヒラカワの正体は誰にも言ってはいけない」とお達しがありました。私は嘘が下手なので、つらい時間でしたね。

 普通、台本には「橘安子:上白石萌音」といったように役名と演じる俳優名、事務所の名前まですべて記載されているものですけれど、私が演じた「アニー・ヒラカワ」だけは、俳優名も事務所の名前も最後まで記載されませんでした。私が演じた物証がなにもないのです(笑)

――共演者の皆さんもアニー・ヒラカワを演じる俳優が誰で、一体彼女が何者なのか、途中までは知らなかったのでしょうか。

森山 全然、どなたもご存知なかったようです。衣装合わせで大阪に行ったとき、メインキャストの皆さんがちょうど本読みをしていらしたんですね。ご挨拶をしたのですが、まだ私がアニー役だと知らされる前だったようで、「森山さん……なぜここに?」という雰囲気でした(笑)

濱田マリさんからは、「あっ、国家機密やん!」

――徹底したかん口令が敷かれていたことがわかります

森山 その後にお化粧室でバッタリお会いした濱田マリさんからは、「あっ、国家機密やん!」と言われました(笑)。その頃にはもう共演者の方は知っていたのですが、皆さんにも厳しいかん口令が敷かれていたようです。制作陣の皆さんはSNSでの騒ぎも計算して楽しんでいらっしゃるような気もしました(笑)

――「アニー・ヒラカワ=安子・ローズウッド」という事実が終盤最大のミステリーになるわけですが、役作りはどのようにされたのでしょうか。

『カムカム』の“るい編”以降をあえて観なかった理由

森山 出演の少し前に登場シーンの台本が送られてくるような状況でしたので、自分の存在がここまで大きな鍵になる展開も、当初詳しくはまったく知りませんでした。

 だからあのドラマのためにできることは、とにかく安子ちゃんが若いときにどんな思いでアメリカに渡ったのか、そこまでをじっくり観ることだけでした。

 実はるいちゃんのパートになってから1、2回観たのですが、安子はその頃アメリカにいますから、るいちゃんの様子を知る由もありませんよね。そう思ったら、アニーを演じる自分にとって今のるいちゃんの情報は要らないのではないかと感じ、それからは出番まで『カムカム』をあえて一切観ませんでした。

――安子と同じ環境に身を置くようにして役作りをされたのですね。では50年の時を経てるいと再会するシーン、感慨もひとしおだったのでは。

森山 本当に、こみあげて困りました。家でも「エモーショナル良子」と呼ばれているくらいですから、台本を覚えている段階からおいおいと泣けてきて、本番ではもう涙が涸れてしまうのではないかと心配なほどでした。

 思い出深いシーンといえば、るいちゃんとの再会直前の猛ダッシュシーンです。監督さんに「猛ダッシュしてください」と言われたんですが、「普通、私の年代、74歳になると、猛ダッシュはいたしません」と答えました(笑)

アニーは走りながら、過去に戻っていたのかも

――旧岡山偕行社から表町商店街、岡山城、そして朝丘神社へと、孫のひなたから逃げるように岡山市内を走り抜けていました。

森山 アニーは逃げている、あるいは走りながら過去に戻っていたのかもわかりませんね。会いたいけど会えない……あの走りの中にはいろんな気持ちが込められているのだろうと思います。

 歌手として2時間のステージをやり切るには体力が必要ですから、私も少し前まではコンサート前に1時間ぐらい軽いランニングをしていました。ですから、「体力は大丈夫!!」という自負はありました(笑)。本番を入れて何度もリハーサルがあり、その度にスタート地点まで戻っていますから、歩数計をつけていたらすごい数字になっていたと思います。

――「走れる70代」という体力面だけでなく、森山さんのお父さまはジャズトランペッターで日系2世の森山久さんで、“サッチモ”ことルイ・アームストロングとも親交があったお方です。

『カムカム』という作品にこれほどリンクする俳優は他にいないほど、奇跡のキャスティングでした。

森山家の『ファミリーヒストリー』とキャスティングの秘密

森山 数年前、私の家族の歴史をNHKの『ファミリーヒストリー』で紹介していただいたので、「番組をご覧になってお声がけしてくださったのですか?」と聞いたら、「いえ、知りませんでした。なんとなくピンときて」だと(笑)。私のバックグラウンドを念頭に置いて、ということではまったくなかったようで、まさにご縁ですよね。

 ジャズミュージシャンの家庭で育ったこともあり、「オン・ザ・サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」も当然のように家で聴いていました。父もひなたの道を明るく進んでいくような、ほがらかな性格の人だったんです。怒られたことは一度もなくて、いつも「I love you」と言ってくれました。

――「英語」を縦糸に3世代の物語を紡いだ『カムカムエヴリバディ』に対し、森山家はジャズトランペッターの父・久さん、シンガーだった母・陽子さん、息子で歌手の森山直太朗さん、そしていとこのムッシュかまやつさんと、「音楽」でもファミリーがつながっています。

森山 「英語」と「音楽」に通じる家族の話で言いますと、優しい父でしたが、発音にだけは厳しかったですね。英語の歌をちょっと鼻歌で8小節も歌ったら、「良子ちゃん、ちょっといらっしゃい」と、RとL、ZとSの違い、発音の全てを2、3時間、特訓させられました。やっと終わっても、次の8小節を歌うとそれが繰り返されました。

 小さいとき、9歳上のムッシュは2軒隣に住んでいて、仕事を始めてから仲良しになりました。ムッシュのパパ(※)はジャズの学校をやっていたから、そこでもいろんな曲を聴いて自然に覚えました。

(※)ティーブ・釜萢。日本ジャズ学校創立者で、ムッシュかまやつが所属していた「ザ・スパイダース」の名付け親。

――2017年3月に亡くなられる直前まで、ムッシュかまやつさんとは森山さんのお家で同居して、ご家族で看護されていたそうですね。

森山 そうでした。「毎日生存確認するのも大変だから、うちに来ない?」「いいのかよ! おもしろそうだな」で決まりです。

 最後は2人でずっと音楽の話をしました。私が仕事で出ているときはビートルズローリング・ストーンズビデオを置いておくんです。で、帰ってくると「ビートルズってすげえタイトなのな!」とか言ってね。いつも音楽の話をして、本当に楽しかったです。

――ご家族の仲の良さが伝わってきます。

森山 私にとって「家族」は礎。「どこにいても、なにをしていてもいいから幸せになりなさい」という父からの言葉は、人生の舵取りのような言葉ですね。

――5月8日には、16回連続という「母に感謝のコンサート」に出演されます。母の娘として、また子どもたちの母としてもどんなコンサートを披露されるのか楽しみです。

森山 会場は大阪城ホールなんです。『カムカム』もNHK大阪の制作だったものですから、いろいろとそちらも趣向を凝らそうかと考えています。ただ走るには大阪城は広すぎるかな~(笑)

写真=鈴木七絵/文藝春秋

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(小泉 なつみ/文藝春秋

森山良子さん


(出典 news.nicovideo.jp)